
マリカ・コンスタンティーノ(Marika Constantino)は、フィリピンを拠点に活動するアーティスト/キュレーター/カルチュラル・ワーカーです。
2012年、マニラのEscolta地区にて98B COLLABoratoryを共同設立し、歴史的建築物を活用してアートと地域をつなぐ実験的なプラットフォームを運営してきました。
現在はRoxas Cityに自ら立ち上げた「KANTINA」を拠点とし、アーティスト・イン・レジデンスを通じて地域住民と共に学び、創造する場づくりに取り組んでいます。
2017年には、エディンバラ大学の「Global Cultural Fellow」やアジアン・カルチュラル・カウンシルのニューヨーク・フェローシップに選出され、また2021年には蓮沼執太の「Silence Park」にも参加するなど、国内外で多彩な実践を行ってきました。
今回の「Beer with Artist vol.7」では、幅広いコンスタンティーノのこれまでの歩みをたどるトークイベントを開催します。
本イベントは「アーティストに聞いてみる」をテーマに、気軽に相談や交流が楽しめるカジュアルな場として、新しいつながりを築く機会を創出します。
フィリピンの文化や地域の話題にとどまらず、アーティスト/カルチュラル・ワーカーとしての経験や、現在拠点としているRoxasでの取り組みなど、自由な対話を楽しめる場になればと思います。
(主催者より)
TRA-TRAVELのメンバー・Qenji Yoshidaによるアーティスト・インタビュー
Qenji Yoshida(以下 QY):マリカさんはこれまで、アートに関わるさまざまな活動をされてきましたよね。まずは簡単に自己紹介をお願いできますか?
Marika Constantino(以下 MC):私はビジュアルアーティストとして、パターン、レイヤー、質感、素材といった要素に関心を持ち、制作をしています。とくに、それらが歴史や記憶、文化と交差する部分に魅力を感じています。
また、キュレーターなど他の役割で活動するときも、アーティストとしての視点を常に活かしていると思います。

QY:マニラのアーティストラン・イニシアチブ/コレクティブである98B COLLABoratoryを共同設立されたり、現在はKANTINAという新しいスペースでレジデンス事業も展開されていますよね。
そのように、他のアーティストと協働したり、プラットフォームを運営したりするモチベーションはどこにあるのでしょうか?
MC:そうですね、アーティストやキュレーターとしての実践を通じて関わってきたコミュニティに対して、何か新たな可能性を生み出すことに関心を持つようになりました。
そもそも、アーティストとしての制作って、多くは孤独な行為ですよね。だからこそ、「ひとり」の状態から抜け出して誰かと関わるときに生まれる驚きや発見が、とても愛おしいんです。
コレクティブやプラットフォームを通じて、知識や経験、プロセス、そしてさまざまな成果物を誰かと共有できるというのは、私にとって特権であり、報いでもあります。
それは学びの機会を育み、広げてくれるだけでなく、自分の人間性に触れながら、地に足のついた感覚を保つ支えにもなっていると感じています。
運営するKANTINAで収穫された野菜 KANTINAトークイベントの様子(2024)
QY:学びや肯定感が育まれるのは、「共にいること」の理想的なかたちだと思います。大阪でまたいろんな話ができるのを、本当に楽しみにしています。 最後に、あなたの国や地域の「飲みカルチャー」についても聞かせてほしいです。
MC:フィリピンの飲みカルチャーはエネルギッシュで、共同体の営みや祝いごとと深く結びついています。それには、先住民の風習、スペインやアメリカの影響、そして現代的なスタイルが絶妙に混ざり合ったものです。 私にとってのお酒は、人生の浮き沈み、そしてその間にある瞬間を味わう手段です。友人や同僚と喜びを分かち合ったり、落ち込んだときやストレスを慰め合ったりする場でもあります。 私のようなアーティストにとっては、アイデアを出し合ったり、個人的なことから仕事の話までさまざまな出来事を共有したりする“潤滑剤”にもなっています。実際、これまでに多くのプロジェクトの構想や方向性を、飲みの場で思いついてきました(笑)。
大阪で、気楽なムードの中、交流ができることを楽しみにしています。

Marika Constantino/マリカ・コンスタンティーノ(フィリピン)
アーティスト、KANTINAディレクター
フィリピン内外の主要な展覧会に参加。キュレーター及びリサーチャーとしても活動しており、また世界各国の出版物に多数寄稿しているフリーランスのライターでもある。ザ・フィリピン・カレッジ・オブ・アーキテクチャー大学で学位を得た後、UPカレッジ・オブ・ファイン・アーツでは美術史を専攻し、さらに学識を深めた。芸術が持つ知性的、概念的、経験的な側面のバランスを保ちながら、意欲的に活動を続けている。2015年から2018年には、マニラのエスコルタにあるファースト・ユナイテッド・ビルディング・コミュニティ・ミュージアムの事業を取りまとめ、同じくマニラのイントラムロスにあるDestileria Limtuaco Museumの監督も務めた。2018年から2019年には、アジアン・カルチュラル・カウンシルのニューヨーク・フェローシップに選出され、翌年2020年2月には、西ビサヤ地方に知識と創作活動を共有するためのアートスペース「KANTINA」を創立。そして現在は、フィリピンのマニラとカピスの首都ロハスにて活動を続けている。
Beer with Artist vol.7
with マリカ・コンスタンティーノ(Marika Constantino)
「フィリピンで/ひとりで/集団で/アートするということ」日時:2025年5月15日(木) 19:00〜20:30
会場:SUCHSIZE
言語:英語(ときどき日本語サポート)
参加費:自由(ドネーション制)
主催:TRA-TRAVEL
共催:KANTINA
大阪市西成区山王1-6-20