
大阪府の北摂三島地域に位置する茨木市では、市役所と茨木市文化振興財団、地域のアート関係者が協働し、文化を育むためのさまざまなアート事業が展開されてきた。その中でも、50年以上の歴史を持つ展覧会「現代美術-茨木」、JR総持寺駅構内にアートに出会う環境をつくる「SOU-JR総持寺駅アートプロジェクト」、コロナ禍を機にはじまった「茨木映像芸術祭」、アーティストとともに長期間の地域密着型プロジェクトに取り組む「HUB-IBARAKI ART PROJECT」は、それぞれの個性を活かして、継続的に現代アートとまちとの関わりを創出している。
今般、その4つの事業のコラボレーションによる初めての合同展示「ICAW:Ibaraki Contemporary Art Weeks」が実現。2024年5月に貸館終了した茨木市福祉文化会館(オークシアター)の全館を使用した大規模な展示を展開する。
参加プロジェクト
現代美術-茨木(1・2階)
1968年から開催されている、現代美術に特化した展覧会で、これまでの開催回数は51回にのぼる。アンデパンダン(無審査)の「公募部門」と、実行委員会選出の「特集作家部門」で構成されている。
「第52回 現代美術-茨木2025展」は、6月30日(月)から7月6日(日)に、茨木市文化・子育て複合施設おにクルで開催。特集作家によるワークショップやトークイベントも実施する。
福祉文化会館にて開催する現代美術-茨木特別展「Transfer」では、特集作家経験者6名による1室1名の個展形式の展示とライブペインティング、これまでに制作した広報物などを紹介するアーカイブ展示、茨木市の文化芸術について語り合う「現美カフェ vol.3」(7月13日)を開催。参加作家は、今村源、大前春菜、葛󠄀本康彰、中屋敷智生、山城優摩、わにぶちみき。SOU-JR総持寺駅アートプロジェクト(3階、地下2階)
2018年のJR総持寺駅開業とともにスタート。駅改札前の高さ2.6mの自由通路壁面に、多様な作家の作品を大型プリントにして展示。約半年ごとに入れ替えを行い、実作品を紹介する展覧会「real SOU — SOUのほんもの作品展」も開催している。企画・運営はOne Art Project。
本展では、現在SOUで展開中のポーランドの作家、エディタ・フルとルジャ・リトヴァに加え、過去のSOU参加作家である松井智惠、黒宮菜菜を迎え、ポーランドと日本の作家の対話を試みる。茨木映像芸術祭(4・5階)
2020年に始まった、8分19秒以内の短編映像コンクール。作品募集と審査を行う「コンペティション」と、受賞発表と茨木市内各所での上映「プレゼンテーション」から構成される。
本展では、「第3回 茨木映像芸術祭2024-2025」のプレゼンテーションを開催。初日にグランプリをはじめ各賞の発表を行い、会期中に入選17作品の上映、招待アーティストのインスタレーション展示を実施する。HUB-IBARAKI ART PROJECT(地下1階)
2013年に始動。茨木市に暮らす人々が、現代アート作品・アーティストとの交流を通して、アートの本質的な魅力である「表現の豊かさ/美しさ」「探求心」に触れ、その体験をそれぞれの日常の中へ還元していくことをめざしたアートプロジェクト。
本展では、2024年度の招聘作家・井上唯による茨木市でのリサーチをベースに制作・発表された作品のひとつ、全長17.5メートルにおよぶ「雨乞いの龍」の記録映像を紹介。本作は展覧会終了後に燃やされ、その灰が土へと還されるまでのプロセスも含めて作品とするもので、自然と人の営み、循環をテーマにした取り組み。
あわせて、2025年度招聘作家・尾角典子の過去作品を紹介。尾角の代表的な映像作品「The Interpreter」は、今回が大阪での初上映となる。
6月29日(日)には、近隣の市民総合センター(クリエイトセンター)にて、トークシリーズ「場づくりについて考える」の#04「IBALAB@広場の事例から」も開催。
ICAW:Ibaraki Contemporary Art Weeks
参加企画:
現代美術展茨木特別展「Transfer」
real SOU #15「野原の上で」
茨木映像芸術祭 2024-2025 プレゼンテーション
HUB-IBARAKI ART PROJECT 2024/2025招聘作家作品展示会期:2025年6月28日(土)~7月13日(日)
会場:茨木市福祉文化会館 (オークシアター)
時間:12:00~19:00
休館:月~水曜
料金:入場無料
茨木市福祉文化会館(オークシアター)
茨木市駅前4-7-55