
2025年8月9日(土)より、阿波座の⼤阪府⽴江之⼦島⽂化芸術創造センター[enoco]にて、「Re:boot ひかりの再起動・セビリア万博の記憶〜⼤阪府20世紀美術コレクションによるサイエンス・アート展〜」が開催される。
1992年のスペイン・セビリア万国博覧会・⽇本政府館にて開催された、サイエンス・アート・ギャラリー「光の縁⽇(⽇本の夏祭り)」では、当時として最先端の科学技術とアートを融合したメディアアート作品が数多く展⽰された。
本展では、⼤阪府20世紀美術コレクションに収蔵されているそれらの作品を、出展作家⾃⾝による修復・復元のプロセスを経て展⽰する。当時の展示の単なる再現ではなく、メディアアートという表現がもつ創造性と時代性を再考し、作品を次世代に向けて「再起動(Re:boot)」する試みとなる。
展示作品
・石井勢津子《夏まつり(竹林イメージ)》《夏まつり(文字シリーズ)》《草原から》
・岩井俊雄《時間層Ⅳ》
・作間敏宏《HALF MOON CHILD》《MOON WALK》
・佐藤慶次郎《ススキ》
・原口美喜麿《竹の園》《ポンピトンのタマゴ》
・松村泰三《SCANⅡ》
・セビリア万博関連資料(パンフレット、記録映像など)–
作家プロフィール
石井勢津子(いしい せつこ 1946-)
東京都生まれ。1970年、東京工業大学卒業後、創形美術学校およびパリ国立高等美術学校で美術を学ぶ。帰国後、ホログラフィ技術に魅せられ、アートとサイエンスの融合による幻想的な世界を探求。日本におけるホログラフィ・アートの先駆者として知られる。その展開は屋内のみならず、自然環境や野外における太陽と水を取り入れたインスタレーションにおよぶ。主な展覧会に「SETSUKO ISHII New Experience in Perception」(ニューヨーク・ホログラフィ博物館、1985)、「光を紡ぐ 石井勢津子の世界」(美ヶ原高原美術館、1993)、「Point of View」(Retretti Art Center, Finland,1994)、野外インスタレーション;「SETSUKO ISHII Olografie;Percorsi di Luce Nel Tempo」古代ローマ遺跡Villa dei Quintili、2007)、「Magic of Light」(ITMO Museum of Optics サンクトテルブルグ、2015)、「ホログラフィ・アートの先駆者(パイオニア)石井勢津子」(北九州市立美術館、2022)など。岩井俊雄(いわい としお 1962-)
愛知県生まれ。1987年、筑波⼤学⼤学院修⼠課程芸術研究科デザイン専攻〈総合造形〉コース修了。
メディアアーティストとして、映像・音を融合した作品を多数制作。またTV番組のキャラクターやゲームソフトの制作など、活動は多岐にわたる。《映像装置としてのピアノ》(1995)や《マシュマロスコープ》(2002)など、先駆的でインタラクティブな作品を発表。2006年より絵本作家としても活動を開始し、2008年刊行の『100かいだてのいえ』は子どもたちに大人気となるなど、ジャンルを横断して活躍。主な展覧会に「どっちがどっち? いわいとしお×—岩井俊雄―『100かいだてのいえ』とメディアアートの世界―」(茨城県近代美術館、2022)、「いわいとしお×東京都写真美術館 光と動きの100かいだてのいえ ―19世紀の映像装置とメディアアートをつなぐ」(東京都写真美術館、2024)、「坂本龍一|音を視る 時を聴く」(東京都現代美術館、2024–2025)など。作間敏宏(さくま としひろ 1957-)
宮城県生まれ。1982年、東京藝術大学大学院修士課程修了。《治癒》(1996-)《colony》(2001-)《接着/交換》(2003-)の3つのシリーズで作品展開をし、生命の結びつきや代謝をテーマに、電球・ビニールハウス・MDF板、布など多様な素材を用い、さまざまな手法でインスタレーションを展開する。主な展覧会に「NOAH 2000−治癒」(リアス・アーク美術館、1995)、「光と風の庭」(愛知万博2005日本政府館、2005)、「つくることは生きること ― 震災『明日の神話』」(川崎市岡本太郎美術館、2016)、「Healing」(ニューヨーク、Tenri Galleary、2018)など。佐藤慶次郎(さとう けいじろう 1927–2009)
東京都生まれ。1952年、慶應義塾大学医学部卒業後、前衛作曲家・早坂文雄に師事し作曲活動を始める。1952年から前衛芸術集団「実験工房」のメンバーとして活動し、音楽作品を発表。1970年代以降は壊れたスピーカーや磁気部品、軸の振動などを利用したインスタレーション作品を手がけ、音楽・科学・美術を横断する独自の表現世界を築いた。主な展覧会に「おもちゃの世界大探検 不思議な振動の世界 佐藤慶次郎作品集」(新潟県立自然博物館、1984)、「『在る』ということの不思議 佐藤慶次郎とまどみちお展」(岐阜県立美術館、1999)、「モノミナヒカル展」(多摩美術大学美術館、2012)など。原口美喜麿(はらぐち みきまろ 1945-)
茨城県生まれ。1972年、東京藝術大学大学院修士課程修了後、光の彫刻家ニコラ・シェフェールに師事し、パリ国立高等美術学校に留学。光と機械を組み合わせたキネティック・アートを学び、「光」を素材とした立体作品を制作。近年では「自然光と芸術の融合」をテーマに新たな表現を追求している。主な展覧会に「原口美喜麿 光の造形展」(銀座ミキモトホール、1987)、「原口美喜麿 ライト・アート展」(下館市文化ギャラリー、1993)、「原口美喜麿―動く光のミュージアム―」(しもだて美術館、2015)など。松村泰三(まつむら たいぞう 1964-)
青森県生まれ。1990年、筑波大学大学院芸術研究科修士課程修了。光の彫刻、インスタレーション、パフォーマンスを融合した作品を多数発表。自ら考案した「光の箱」ワークショップを通じて、世代を超えた交流にも力を注ぎ、芸術と社会をつなぐ存在として幅広く活動している。主な展覧会や活動に「IN/OUT」(ハラミュージアムアーク、1996)、「松村泰三展 ― あるものは⾒えない、⾒えないものはある ―」(INAXギャラリー、2004)「六本⽊アートナイト 夜の虹をつくろう」(サントリー美術館、2015)など。
Re:boot ひかりの再起動・セビリア万博の記憶
~大阪府20世紀美術コレクションによるサイエンス・アート展~会期:2025年8月9日(土)〜9月6日(土)
会場:大阪府立江之子島文化芸術創造センター[enoco]4Fルーム1・2
時間:10:30〜18:00
休館:月曜
料金:入場無料
関連イベント
トークイベント「転生するメディア・アート」
出展作家が制作当時の記憶やメディアアートの継承、表現の変遷、そして現在の活動について語り合う。
日時:8月9日(土)13:30〜15:30(受付開始 13:15〜)
会場:enoco 2F ルーム8
登壇:石井勢津子、岩井俊雄、作間敏宏、原口美喜麿、松村泰三
モデレーター:明貫紘子(メディアアート研究、映像ワークショップ合同会社代表)
参加費:無料
定員:30名(要事前申込・先着順) ※申し込みフォームはこちらワークショップ「光のツリーを作ろう!」
紙と光を使って、色彩の変化を楽しむオリジナルツリーを制作する。
日時:8月10日(日)10:30〜12:30(受付開始 10:15〜)
会場:enoco 2F ルーム8
講師:松村泰三
対象:子どもから大人まで どなたでも(未就学児・小学校低学年は保護者同伴)
参加費:1,500円(税・材料費込)
定員:24名(要事前申込・先着順) ※申し込みフォームはこちら問合:06-6441-8050
主催:大阪府立江之子島文化芸術創造センター [enoco]
協力:情報科学芸術大学院大学[IAMAS]、藤井秀雄(EXPOサポーターズ)
テクニカルディレクション:MeAM(田部井勝彦・中川陽介)
大阪市西区江之子島2-1-34