
南堀江のTEZUKAYAMA GALLERYにて、企画展「律動のレゾナンス」が開催される。
2025年に金沢のPOOL SIDE GALLERYにて開催された展覧会「律動する思考」の巡回展。
本展では、反復、規則性、身体性といった構造的要素と深く結びついた制作を実践する亀井洋一郎、杉山卓朗、松延総司、米倉大五郎の4名を紹介します。彼らに共通するのは、感情や物語を直接表出するのではなく、反復される行為や、作家自身が定めたルール、素材との応答関係を通じて、作品を立ち上げている点にあります。
ここでいう「思考」とは、静的な内省や観念として存在するものではありません。むしろ、線を引く、積み重ねる、削る、配置するといった身体的行為の持続のなかで生成される、動的なプロセスとして捉えられています。単純な反復のなかに生じる微細な揺らぎや逸脱は、作品に固有のリズムを生み出し、鑑賞者の知覚や認識へ静かに作用していきます。
亀井洋一郎は、磁器による代表作「Lattice receptacle」シリーズにおいて、同一ユニットの集積から成る構造体を制作し、やきものに内在する秩序や空間性を探究してきました。近年では、その構造的思考をドローイングへ展開し、素材や形式を横断しながら、自身の造形原理を再考しています。
杉山卓朗は、線や面といった絵画の最小単位を反復し、組み替えることで画面を構築しています。主観的な感情表現や筆致の個性を極力抑制し、マスキングを用いずに描かれる「際」の処理を含め、絵画そのものが自律的に立ち現れる状態を志向しています。
松延総司は、「線」「影」「無意識」「地」といった曖昧で不可視な存在を主題に、可変性や拡張性を伴うコンセプチュアルな作品を制作しています。日常の中で無意識化された構造や認識の条件を、ミニマルな方法によって顕在化させる試みを続けています。
米倉大五郎は、水面や流動する液体のイメージを起点に、絵画における生成や反射、揺らぎを探求しています。白と黒の絵具による流動的な画面は、風景や光景の記憶を喚起すると同時に、見る行為そのものの不確かさを浮かび上がらせます。
本展において4名の作家の作品は、それぞれ異なる方法論を用いながらも、反復と身体行為の集積を通して、思考がどのように造形へと転化されるのかを示しています。制度的な意味や言語によって回収される以前の地点に立ち返り、創造へ向かう身体の運動そのものに思考が宿る可能性を提示する本展は、現代における表現行為の根源的なあり方を改めて問いかける機会となるでしょう。
(プレスリリースより)
出展作家 プロフィール

1974年、香川県生まれ、沖縄県在住。京都市立芸術大学大学院博士(後期)課程を修了。
代表作である「Lattice receptacle(ラティスレセプタクル)」シリーズでは、同一ユニットの集積による磁器の構造的造形を通じて、やきものに内在する秩序やそれに伴う空間性を探究している。
近年はやきもの表現で培ったテーマやシステムをドローイングへと展開し、新たな視点から自作の再考を試みている。
主な個展に「モルフォロジー/コスモロジー」(あーとらんどギャラリー/2025)、「様相の舞台」(SILVER SHELL/2018)。主なグループ展に「高松コンテンポラリーアート・アニュアル 物語る物質」(高松市美術館/2017)、「クロスポイント/交差する視線 20の表現」(香川県立ミュージアム/2017)、「菊池寛実賞 工芸の現在」(菊池寛実記念智美術館/2016)、ジャカルタ現代陶芸ビエンナーレ(インドネシア国立美術館/2014)など。

1983年、千葉県生まれ、兵庫県在住。大阪美術専門学校研究科を修了。
真っ白なキャンバスを前にした時に湧き上がる衝動や想像力に依拠するのではなく、線や面といった絵画を構成する最小要素を繰り返し重ね、組み直すことで絵画作品を制作している。モチーフの生成工程において、作家の意図や感情といった恣意的な情報が介入することを極力抑えることを重視している。技法的な面でも同様に、際(きわ)の処理においてマスキングを使わずに描きながら、筆致や手癖といった「肉筆らしさ」からも距離を置いたフラットな絵画表現を志向している。その試みは、作家の意思を前面に出すことなく、絵画そのものが自律的に立ち現れることを目指す実践と言える。
主な個展に「PAGUROIDEA」(TEZUKAYAMA GALLERY/2024)、「周縁と方法」(五台山竹林寺/2017)、「LOOP」(ASYL [元梅花堂]/2014)。主なグループ展に「2つの時代の平面・絵画表現-泉茂と6名の現代作家展」(Yoshimi Arts/the three konohana/2021)、「paint( )ings」(Yutaka Kikutake Gallery/2018)、「江之子島芸術の日々2017『他の方法』」(大阪府立江之子島文化創造センター/2017)など。

1988年熊本県生まれ。滋賀県在住。2008年京都嵯峨芸術大学短期大学部卒業。2023年ポーラ美術振興財団在外研修員としてフランスにて研修。
「線」「影」「無意識」「地」などの掴みどころのない事物を主題とし、可変性、拡張性、複数性を特徴とするコンセプチュアルアートを制作。日常のなかで人々が無意識化している抽象的な物事を捉え直し、それらがどのような環境や認識の上に成り立っているのかミニマルな手法で顕在化することを試みている。
主な個展に「Direction of Materials」(BO/OK/2025)、「私の石」(私立大室美術館/2025)、「Woven Knot」(gallery chosun/2024)。主なグループ展に「家具と抽出し」(A-lab/2024)、「Dialogues」(東京日仏学院/2024)「not a house」(MBL Architectes/2024)、「VOCA展2024 現代美術の展望」(上野の森美術館/2024)、「石と植物」(滋賀県立美術館/2022)、「Soft Territoryかかわりのあわい」(滋賀県立美術館/2021)など。

1975年、広島県生まれ、広島県在住。2006年 広島市立大学芸術学研究科博士課程修了 博士(芸術)。2009年、ポーラ美術振興財団若手芸術家の在外研修に対する助成により、ベルリン芸術大学イケムラ・レイコ研究室(聴講生)。
もし絵画の誕生が黒と白の液体だったなら、その水面はなにを映し出したのだろうか。白と黒の湖面は風に波立つ風景を反射したかもしれない。白と黒の渓流は濃淡の生々流転する形象を描いたかもしれない。白と黒の海は雨に打たれる空に相似したかもしれない。あるいは静止した水は鏡にもなる。私たちはいつも水辺に立っている。
これまでの主な個展に、「FOLDS of PAINT」(mm project / 2017)、「more than painting, less than painting, or anything else」(hpgrp GALLERY/2020)、「smoke and mirrors, and shade」(THE POOL/2022)など。
企画展「律動のレゾナンス」
出展作家:亀井洋一郎、杉山卓朗、松延総司、米倉大五郎会期:2026年5月23日(土)〜6月20日(土)
会場:TEZUKAYAMA GALLERY Viewing Room
時間:12:00~19:00
休廊:日・月曜、祝日
大阪市西区南堀江1-19-27
山崎ビル2F


