ロフトプラスワンウエストで2022年7月25日(月)に行われたトークイベント「夜行バスによくあること」をオンラインで視聴した。大阪〜東京間を、最安値では約3,500円で移動できる夜行バス。その魅力やあるある、乗車時に役立つTIPSまでがゆるく語られた。
マニアックな本企画の元ネタは、イーアイデムが運営する地元メディア「ジモコロ」に2020年に掲載された「夜行バスによくあること座談会」。この記事に関わったスズキナオ、ラミー(UNDERHAIRZ)、大坪ケムタのほか、狸山みほたん(オタフクガールズ)が登壇した。
会場では高速バス会社にちなんだ当日限定スペシャルドリンクを販売。JRバスサワー、WILLER TRAVELミルク、さくら観光ソーダ、JAMJAMライナーソーダと、高速バスユーザーには馴染み深い名前が読み上げられる。また開演前には、バスターミナルで聞こえる雑踏やアナウンスなど臨場感のある環境音が流され、まさにバスへの乗車を待っているかのように思わせる演出が効いていた。
登壇者各々のドリンクが揃ったところで、乾杯からスタート。まずは夜行バス内で寝られるかどうかという話題からはじまった。
「隣に誰が座るかは運次第。いびきや汗臭さで寝にくいときもあるから、お酒を飲んで誤魔化している」と大坪。スズキの「疲れを取るための睡眠ではないから、翌日急に行動できない。降車してすぐ泊まれる場所をつくれば需要があるのに」とのコメントから、バスを降りてすぐ行けるおすすめのホテル、銭湯の話でも盛り上がった。そんななか「安さが魅力の夜行バスだが、降車後のホテルや銭湯代もトータルすると、新幹線とコストはほとんど同じではないか」という意見も。
そこに「新幹線ガチ勢」を自称するラミーさんが「EX予約でポイントを貯めて、グリーン車に乗ってみてほしい。疲れを感じない座席と、サービスされる側が恐縮しない、程よいおしぼりのサービスが良い」との新幹線情報を投下。会場の空気がにわかに新幹線派に傾いたように見えた。
トークはまだまだ続く。夜行バスでイヤホンをするかという話題から、車内の音事情が浮かび上がってきた。「耳には何も入れたくないので、キーホルダーが振動する音はテクノとして消化している」というスズキのエピソードのほか、朝方に誰かがかけたアラームの音、急に喋り出したファービーの声など、あるある(?)が飛び出した。そんななか「大量のタンバリンを止むを得ずバスの座席に持ち込むことになり、騒音の犯人になってしまった」みほたんの話に笑い声が上がった。
休憩を挟んだイベント後半は、夜行バスならではのエモさからトークがスタート。「東京で芸人をしていた頃、相方が芸人を辞めて大阪にバスで帰ることになって。偶然、芸人の先輩がバスターミナルのスタッフをしていたので、一緒に相方を見送ったんですよね」とみほたん。一方ラミーからは「新宿で飲み疲れたときに、バスタ(新宿にあるバスターミナル)でコンビニのコーヒーを飲むのが好き。程よく人も少ないので避難場所として使い勝手が良いんです。バスに乗るわけではないので、招かれざる客ですが……」と、ターミナルのささやかな活用方法も語られた。
終盤には会場や配信視聴者からの質問に答えるコーナーも。サービスエリアの休憩後、迷子にならずにバスに戻れる方法、個室仕様の豪華なバスについてどう思うか、降車後は何をして過ごすかなど、夜行バスユーザーならではの視点から質問が寄せられた。高速バスと比較される新幹線の快適さにあらためて感動しながらも、「夜行バス、また乗りたくなってきました!」とイベントが締めくくられたのは、その金額や利便性のためだけではないように思う。
目的地を同じくする者同士で、長い時間を狭い空間のなかで共有する夜行バス。そこでの身のこなしや時間との向き合い方に、それぞれが哲学を見出していた。
日時:2022年7月25日(月)19:00
会場:ロフトプラスワンウエスト
出演:スズキナオ(ライター)、ラミー(UNDERHAIRZ)、狸山みほたん(オタフクガールズ) ※うてなゆき(ネムレス)は出演キャンセル
MC:大坪ケムタ(ライター、イベンター)