肥後橋のThe Third Gallery Ayaにて、写真家・垣本泰美の個展「Merge Imago」が開催。
垣本は1976年大阪生まれ。日本写真映像専門学校と成安造形大学造形学部デザイン科写真専攻で写真を学んだ。大阪や東京ほか国内外のグループ展等で作品を発表している。
同ギャラリーでは6回目の個展となる今回は、2017年12月にスウェーデンで撮影したものを中心として制作された新作を展示。淡水と海水が合流する汽水域を見たことから、一見同じように見えても違う性質を持つものが、なかなか溶け合うことがない現象にインスピレーションを得て展開した作品群だ。
垣本はこれまで、記憶や少女性、現実と非現実との境界をテーマに制作を行ってきた。新型コロナウイルス感染症の感染拡大という予測だにしなかった出来事の体験を経て、簡単には溶け合わない現実のさまざまな事象を考察する新作は、少女期の「記憶」をヴィジュアル化する中で、無意識的な記憶にこそ個人的な体験だけではない、共通する根源的な体験が含まれていることを探ってきたこれまでの作品群の「変えることができるものとできないもの」とつながり、そこからの新たな展開を感じさせるものになりそうだ。
アーティストステイトメント|
Merge Imago12月のスウェーデンは朝9時頃に日が登り15時頃には日が沈む。日中でも夕方のように感じさせる光が徐々に暗くなった後は長い夜が訪れ、それまで太陽の光に溶け込んでいた星や月の光を浮かび上がらせる。
ストックホルム中心部で淡水と海水が合流する汽水域を見た。淡水と海水は層となり、簡単には溶け合うことはないという。一見同じように見えても違う性質を持つものが溶け合うには、どのくらいの時間が必要なのだろう。
タイトルにある「Imago」は、ラテン語の「Image」の由来となった言葉であり、「変態を完全に終えた蝶や蛾などの成虫」と、ユングの概念である「幼児期に形成され、人の行動に影響を与える、無意識の中で理想化された人物のイメージ」といった2つの意味を持つ。
蝶や蛾は、幼虫からサナギへの変化の過程で、その身体を一旦完全に溶かし形態を変えても、幼虫の頃の記憶を残したままだという。
作品「Merge Imago」は以前訪れたスウェーデンでの滞在時に撮影したものを基に制作したものである。その後、世界がこれほど大きく変化してしまうとは想像もしていなかった。その時考えていた、”溶け合う、あるいは溶け合わないもの” それが今、意味を持って目の前に現れているように思う。
会期:2021年12月4日(土)〜25日(土)
会場:The Third Gallery Aya
時間:水〜金曜 12:00〜19:00、土曜 12:00〜17:00、火曜はアポイント制(info@thethirdgalleryaya.comへ前日12:00までに予約)
休廊:日・月曜日
問合:06-6445-3557
アーティストトークイベント(オンライン)
日時:12月17日(金)19:30〜21:00
会場:YouTube配信 *申込後に詳細を案内
参加費:500円
申込先:event@thethirdgalleryaya.com 06-6445-3557
大阪市西区江戸堀1-8-24
若狭ビル2F