今春、TEZUKAYAMA GALLERYに和田直祐の新作が並ぶ。1983年生まれで大阪を拠点とする和田は、昨年3月にオープンしたホテル「REF(レフ)京都八条口」に大型作品を納めるなど、大阪で今注目を集める若手ペインターのひとりだ。TEZUKAYAMA GALLERYでは今回が初の個展となる。
3月25日(金)〜4月23日(土)に開催される本展では、これまで取り組んできたグレージング技法をもとにする作品をさらに更新させる予定だ。
グレージングとは、薄く溶いた絵の具を幾層にも塗り重ねる古典絵画の技法で、和田はここに高透明メディウムを用いて現代的なマチエールを加え、繊細な色層と奥行きをつくり出す。こうした何層もの透明なレイヤーで描かれる画面は、鑑賞する位置によって色や形を微細に変化させ、「漂流し続ける氷河のように流動性を伴う鑑賞体験を生み出し、見るという行為への再考を促す」という。また和田は、蜃気楼のようにゆらゆらと現れては消える色彩の揺らぎに、微粒子レベルの変化が絶え間なく続く人の認知を超えた世界を重ね合わせている。
この基本的な手法は変わらないものの、新作には、消失・収縮・湾曲といった物質の経年変化を新たな要素として取り入れた。支持体の一部が欠けているなど、構造の不安定さを取り込むことで、作品にこれまでにない緊張感がもたらされるという。和田は、「今展をとおして、欠けている色や形を想像力で補完することを鑑賞者と共有したい」と話す。
和田直祐 Naosuke Wada
1983年兵庫県生まれ。2013年京都造形芸術大学(現 京都芸術大学)大学院修士課程 芸術研究科芸術表現専攻ペインティング領域を修了。現在は大阪に拠点を移し、制作活動を続ける。主な展覧会に、和田直祐・小川万莉子「full-size room」(GALLERY 麟、東京、2021)、WHAT CAFE×DELTA exhibition「EXPANSION」(WHAT CAFE、東京、2021)、「MEET YOUR ART」(大丸梅田店、大阪、2021)、「Kyoto Art for Tomorrow 2021 – 京都府新鋭選抜展」(京都文化博物館、京都、2021)、「類比の鏡 / The Analogical Mirrors」山中suplex、滋賀、2020)、「FOCUS -Four Painters-」(TEZUKAYAMA GALLERY、大阪、2020) 、「大鬼の住む島」(WAITINGROOM、東京、2019)など。
会期:2022年3月25日(金)〜 4月23日(土)
時間:12:00〜19:00
会場:TEZUKAYAMA GALLERY
休廊:日・月曜、祝日
問合:06-6534-3993/info@tezukayama-g.com
大阪市西区南堀江1-19-27
山崎ビル2F