「音」をテーマに、現代アートシーンで活躍するアーティストを紹介するギャラリー「+1art」が、2023年より新たなシリーズ「プラスプラス」をスタート。音を素材にしたり、音をイメージした作品を制作する若手作家を支援することを目的とする企画だ。 (プラスプラスとは、拍手音を表すスペイン語のオノマトペ)
3回目となる今回は、音楽学者/作曲家の小寺未知留、美術家の林葵衣、音楽家/エンジニアの米子匡司という異色の組み合わせによる展示が行われる。
小寺未知留と林葵衣には、子供のころから音に関心を持っているという共通点がある。最近でも、小寺は階段で一番響く音の高さと階段の大きさの関係を調べたりするし、林は言葉を発する人間の口の中を形どった作品を作ったりする。そんな彼らには、さらにもうひとつの共通点があった。この展覧会の準備をはじめた頃から、おかしな物語を夢に見るようになったのだ。
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ここではない、はるかどこか遠い世界に、とても進化した生き物たちが住んでいる。彼らは、およそどんな事でもできて、あまねく世界のどこへでも行けたし、お互いの全てを知る事ができたので、間違う事なく完全に理解しあう事ができた。 一方で、彼らは種族として老成しているとも言えた。そんな種族の中に、ある偶然から誕生した新たな構成員は、進化の履歴を辿って、生物の五感、特に音と声についての調査をはじめる。《Passage》より 米子匡司
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小寺 未知留 KODERA Michiru
1989年京都府生まれ。立命館大学准教授。東京藝術大学大学院博士後期課程修了。博士(音楽学)。作曲を中村滋延氏に師事。戦後米国の音楽理論家レナード・マイヤー(1918〜2007)およびアーティストのマックス・ニューハウス(1939〜2009)に関する研究を進めている。主な論文に、「マックス・ニューハウスは何を『音楽』と呼んだのか」(2021、『美学』第72巻1号)、「レナード・マイヤーとニュー・ミュージコロジーの関係についての一考察」(2018、『音楽学』第63巻2号)。著書に、共著『自由に生きるための知性とはなにか—リベラルアーツで未来をひらく』(2022、晶文社)、共編著『音楽と心の科学史——音楽学と心理学が交差するとき(予定)』(近刊、春秋社)。主な音楽作品に、ピアノのための《透明でもそこにある》(2017)、ソプラノとフルートとピアノのための《Gravity》(2012)、ピアノのための《両極端な風景》(2012)。2021年「CON・CERT」 +1art(大阪)に参加。林 葵衣 HAYASHI Aoi
1988年京都府生まれ。2013年京都造形芸術大学修士課程修了。 音声をはじめとする身体のふるまいに独自の形を与え提示している。 主な個展に2022年「息骨に触れる」KUNST ARZT(京都)、2020年「息差しの型取り」+2(大阪)、「一振りの音」+2(大阪)、「遊動躰」Gallery PARC(京都)など。 2020年度第4期常設展「画家の痕跡」 高松市美術館(香川)、2018年「VOCA展」上野の森美術館(東京)に参加。 2022年第1回白髪一雄現代美術賞、2015年第63回芦屋市展吉原賞を受賞。米子 匡司 YONAGO Tadashi
音楽家、エンジニア。楽器や自作の電子楽器と、空間に設置した装置、フィールド録音、コンピュータプログラミングなどの要素を横断して、その場でしか生じない音楽的体験を作る。これまでにSjQ(cubic music/HEADZ)などのグループに参加。近年の主な公演・展覧会は[それでも残ったもの/音を海にたどる](芦屋市立美術博物館、2021年)、中川裕貴との共作[Dissimilation](岡山県矢掛町、2021年)など。(Webサイトより)
プラスプラスプロジェクトvol.3
passage 小寺未知留・林 葵衣・米子匡司会期:2023年3月29日(水)~4月15日(土)
会場:+1art
時間:12:00~19:00(最終日は~17:00)
同時期開催
遠く つながる | 福井 悠
会期:4月5日(水)~15日(土)
会場:+2 (+1artから徒歩5分)
時間:13:00~19:00
休廊:日〜火曜
大阪市中央区谷町6-4-40