桃谷にスタジオを構えるジュエリーレーベル・ATAKAが、金合金のリサーチ成果を報告する展覧会「Presentation 2024」を開催。本展は、2024年8月9日（金）から12日（月）まで東京の(PLACE) by method、そして8月17日（土）から25日（日）まで大阪のATAKAのスタジオへと巡回する。

ATAKAは設立当初より、既存の材料を使用するのみならず、独自配合による金合金を製造し、ジュエリー製作を行っている。自ら手がけた材料を、思想の宿る洗練されたデザインに昇華させることにより、ほかにはないクリエイションを展開してきた。

「Presentation 2024」では、Au750‰ 合金の配合比率をオリジナルで規定する。Au750‰合金とは、金を75%、残りの25%を銀や銅、パラジウムやプラチナなどの割合を変えて配合した国際規格のひとつ。強度や加工性、耐変色性に優れ、25%中の比率を変えることで多彩な色彩領域を生み出すことから「カラーゴールド」とも呼ばれる、市場流通するジュエリーの材料に広く起用されている高級な金合金だ。

しかし、一般的に用いられるAu750‰ 合金は、25%中の成分比が定められた既存の材料であることがほとんどだという。また、Au750‰ 合金自体は紀元前1300年頃につくり出されたが、これまで配合比率の変化による特性や性能の移り変わりはデータとして蓄積されていない。そうした背景から、ATAKAは色彩の豊かさを探究するとともに、Au750‰ 合金の確立したデータを提示する。ジュエリーの可能性に挑む姿勢には、既成の材料のみを使い造形に偏重する量産思考への疑念も滲む。

ジュエリー業界を取り巻く環境を再考し、材料の拡張性と表現を追求し続けてきたATAKA。その深い思慮に基づくデザインアプローチの本質に、ぜひ会場で触れてほしい。