
大阪府出身の現代美術家・笹岡由梨子による展覧会「ポロニア x キュリー・マジック・ラボ―移動の力」が、2025年6月15日(日)より淀屋橋の大阪市中央公会堂にて開催される。
ポーランド文化を世界に発信するアダム・ミツキェヴィチ・インスティテュートが、大阪・関西万博を機に日本各地でアートや音楽の文化プログラムを展開する「ポ!ランド」プロジェクトの一環。
本展は、科学者、母、そして移民として生きたマリア・スクウォドフスカ=キュリーの人生を起点に、移動、記憶、身体、 家族、継承といったテーマを複層的に探る試みです。笹岡由梨子は、長年にわたりポーランドとの深い関わりを育んできました。本展では、彼女がポーランド滞在中に受けた健康診断のイメージをもとに、家族とともに刺繍、 木版、映像で表現し「関係性の実験室」を構築します。個と集団、記憶と身体、ケアと創造が交錯する場が立ち上がります。
本展のもう一つの軸となるのが「Polonia(ポロニア)」という言葉に込められた意味です。キュリーが命名した元素 「Polonium(ポロニウム)」と、世界中に広がるポーランド系移民の両方を指すこの語は、移動という行為のもつ複雑な力を象徴します。ここでは、移民としての経験が喪失ではなく、新たなつながりや表現を生み出す契機として捉えられています。 スクウォドフスカ=キュリーが物理的・社会的境界を超えて歩んだように、笹岡の作品もまた、移動を通して交差する視点を紡ぎ出します。笹岡が表現する「移動の力」とは、私たちが分断の時代において、どのように共に生き、記憶を手渡し、新たな関係性を築いていけるのかという問いでもあります。
本展キュレーター:パヴェウ・パフチャレク
笹岡由梨子
大阪府出身。映像と絵画との接点を探るべく、絵画における手の痕跡や筆致と近似した、高性能なCG映像にはない異物感や違和感を引き出し、独自のストーリーを紡ぐ。 そして、緻密な構成や物語とともに、どこか懐かしい、けれど誰も見たことのない独特の世界観をリアルに感じさせる。現在、関西/香港を拠点に活動。
笹岡由梨子:ポロニア x キュリー・マジック・ラボ―移動の力
会期:2025年6月15日(日)〜7月5日(土)
会場:大阪市中央公会堂 地下1階(大会議室、第1・2会議室)
時間:11:00〜19:00
休館:6月24日(火)
料金:入場無料
※6月21日(土)14:00〜16:00に、大阪市中央公会堂3階にて、「ポ!ランド」関連イベントが開催予定。笹岡由梨子はトークに参加
大阪市北区中之島1-1-27