
2023年に逝去した音楽家・坂本龍一の、大阪で初の大規模企画展「sakamotocommon OSAKA 1970/2025/大阪/坂本龍一」が、2025年8月30日(土)より梅田のVS.(ヴイエス)にて開催される。
本展のテーマは「1970年の坂本龍一」。
1970年、18歳の坂本は、「人類の進歩と調和」をテーマに掲げた大阪万博で、多彩な音楽やアートに触れた。パビリオンでは、無調による前衛的な電子音楽や、坂本が敬愛する武満徹の《クロッシング》《四季》、小学生の頃から影響を受けた高橋悠治の《慧眼》、湯浅譲二の《スペース・プロジェクションのための音楽》などが流れ、西ドイツ館ではカールハインツ・シュトックハウゼンが球形ホールで《Spiral》の連日公演を行っていた。
また、「ペプシ館」では中谷芙二子による霧の彫刻、クセナキスが「鉄鋼館」のために《Hibiki Hana Ma(響き・花・間)》を制作し、同じ会場にはフランソワ・バシェの音響彫刻が展示されていた。これらの体験は、後の坂本の創作活動に深い影響を与えることになる。
坂本は2016年以降、1970年の大阪万博で展示されたバシェの音響彫刻を演奏・録音する機会を得て、その音を自身の作品に取り入れている。それらの試みは2017年のアルバム《async》に結実し、最晩年に制作した劇場作品《TIME》にも活かされた。
再び大阪で万博が開催されている今年、若き日の坂本が受けた刺激を、坂本が遺したものを共有化する試みとして始動した「sakamotocommon」を通じて次世代のクリエイターたちへ届けたいという思いから企画されたのが本展だ。1970年の大阪万博のために制作されたバシェの音響彫刻を展示するほか、東京藝術大学のバシェ修復プロジェクトチームとマルティ・ルイツが坂本のために制作した新たな音響彫刻も紹介する。
また、坂本の演奏データをもとに、彼が愛用したグランドピアノで再生するプログラムや、東京都現代美術館の「坂本龍一|音を視る 時を聴く」展で展示されたインスタレーション作品も数作品展示される。
展示内容:
坂本龍一 + 高谷史郎《LIFEーfluid, invisible, inaudible…》
Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2025 – D
バシェの音響彫刻
坂本龍一 on async
坂本龍一 + Zakkubalan《async–volume》
坂本龍一 + アピチャッポン・ウィーラセタクン《async–first light》
アピチャッポン・ウィーラセタクン《Durmiente》
坂本龍一『Ryuichi Sakamoto: Playing the Baschet』,『12』 360 Reality Audio
坂本龍一アーカイブ: 1970 -
Sakamoto Library – Extension | 坂本図書 分室–
坂本龍一 プロフィール
1952年東京生まれ。東京藝術大学大学院修士課程修了。1978年『千のナイフ』でソロデビュー。同年、YMOの結成に参加。1983年に散開後は『音楽図鑑』、『BEAUTY』、『async』、『12』などを発表、革新的なサウンドを追求し続けた姿勢は世界的評価を得た。映画音楽では『戦場のメリークリスマス』で英国アカデミー賞作曲賞を、『ラストエンペラー』でアカデミー賞作曲賞、ゴールデングローブ賞、グラミー賞など多数受賞。『LIFE』、『TIME』などの舞台作品や、2018年 piknic/ソウル、2021年M WOODS/北京、2023年〜2024年 M WOODS/成都、2024年〜2025年 東京都現代美術館/東京での大規模インスタレーション展など、アート界への越境も積極的に行なった。環境や平和問題への言及も多く、森林保全団体「more trees」を創設。また「東北ユースオーケストラ」を設立して被災地の子供たちの音楽活動を支援した。2023年3月28日逝去。
sakamotocommon OSAKA 1970/2025/大阪/坂本龍一
会期:2025年8月30日(土)~ 9月27日(土) ※会期中無休
会場:VS.(グラングリーン大阪内)
時間:10:00〜20:00(最終入場時間 19:30)
※一部、開館時間・閉館時間に変更があるため、最新情報は公式Webサイト/Instagramを確認のこと料金:一般 2,200円、18歳以下 1,100円、大学生/専門学校生 1,800円、障がい者割引 1,100円、未就学児無料
※事前オンライン予約制。日時指定枠に空きがある場合は、当日窓口にてチケット購入可。当日のチケット料金、購入方法など詳細は公式Webサイト参照Event
Unsound Osaka
世界でも有数の影響力を持つ電子音楽と実験音楽のフェスティバル/プラットフォームが日本初開催。VS.で行われる初日は灰野敬二、ロビン・フォックス、ジム・オルークと石橋英子が出演。
日時:9月5日(金)18:00開場/19:00開演(22:00閉館)
会場:VS. (グラングリーン大阪内)
料金:3,500円VS. 1st anniversary with sakamotocommon
“HEAR HERE -GATHERING 2”
Curated by Shuta Hasunuma
「sakamotocommon OSAKA」およびVS.の開館1周年を記念し、蓮沼執太のキュレーションのもと、特別な共演を繰り広げる。展覧会空間の各所にアーティストたちが点在し、音を奏でることで、坂本龍一の展示作品・VS.の空間・そして音楽が重層的に溶け合う、一日限りの特別な体験をお届け。
開催日:9月6日(土) ※詳細は未定
会場:VS. (グラングリーン大阪内)
料金:8,800円 ※企画展鑑賞チケット含む[9月1日追記]
スペシャルトークプログラム
「坂本龍一とバシェの音響彫刻 OSAKA/1970/2025」
岡田加津子×川崎弘二×畠中実
ゲストにバシェ協会会長 岡田加津子、『日本の電子音楽』などの著書で知られる川崎弘二、キュレーター、美術・音楽批評の畠中実を招き、1970年大阪万博における現代音楽/実験音楽の試みや、坂本龍一が後年の作品で使用したバシェの演奏に関わるエピソードのほか、本展覧会のために字幕が付けられたバシェの音響彫刻のドキュメンタリーフィルムも特別に上映する。
日時:9月7日(日)15:00~17:00(14:30開場)
会場:ナレッジシアター(グランフロント大阪北館4階)
料金:2,200円(税込) ※チケット購入はこちら主催:株式会社キャブ、VS. 共同事業体(株式会社トータルメディア開発研究所・株式会社野村卓也事務所)
大阪市北区大深町6-86
グラングリーン大阪うめきた公園 ノースパーク