京町堀のchignitta spaceにて、油画作家・新井碧(あらいみどり)の個展「鼓動のりんかく」が開催。
新井は1992年生まれ。2015年に東京造形大学を卒業後、会社員経験を経て京都芸術大学修士課程に進学し、現在2回生。在籍しながら、数々の展覧会に出展し精力的に作品を発表している。
新井の絵画は、身体性を伴ったブラッシュストローク、一見理解されにくい形・アウトライン、意味のないように見える無意識的な線、余白で構成されている。「痕跡を残す」ことに着目し、身体の有限性、「支持体(キャンバス)」と作家が対峙した時に生まれる偶然性を創作の起点としているのが特徴的だ。
本展は、新井にとって初めての個展。約15点の作品を出展する。
STATEMENT
後世に自分の生きた証を残したい、あるいは、この理不尽で不均衡な世界を
生きていかなければならない子孫たちに情報を伝えたい、
人々のそういった欲求が「痕跡を残す」という行為に繋がり
美術は発展していったのではないだろうか。
人の意思を残し伝える手段のひとつとして発達した絵画というメディアは、
まさに「命の痕跡」、かつて「命が存在してきた証」であるともいえるであろう。
私は、身体性を伴ったブラッシュストローク、
一見理解されにくい形・アウトライン、
意味のないように見える無意識的な線、余白で絵画を構成していく。
それらの要素―美術の根源的な動機とつながる「痕跡を残す」動作―は、
感情や人体のノイズといったものが反映されやすい。
そういった手法は、自動的に画面の中に私の生きた時間を内包する。
命を持ち得るものは等しく弱者である。
偶然できたこの星で必然性を求めて生きている限り、
動物であるヒトの生存戦略が「社会性」である限り、
あらゆる矛盾と不条理に対峙せざるを得ない。
科学と医療が発達し、弱者も生き延びることが可能な
共生の時代であるからこそ、生命の有限性について思考し、
また、わたし自身の生きた痕跡を残すため、絵画に時間を閉じ込めていく。
会期:2021年10月29日(金)~11月14日(日)
会場:chignitta space (チグニッタ・スペース)
時間:13:00〜19:00
定休:月曜日
料金: 入場無料
大阪市西区京町堀 1-13-21
(高木ビル1階奥)