
作家による展示ステートメント
開かずの宝箱を再訪しよう
わたしの分身がそこに眠っているから選びとれなかったことのその瞬間に枝分かれしていったわたしがいるのだとしたら、再会したい。
後悔の多い道程で、散り散りになったわたしともう一度合流してこの先を共に歩みたい。
中学の通学路は河川に沿って続いていて、そこにはボラの稚魚がいくつも群れを作って泳いでいた。(ゴンズイの群れはゴンズイ玉と呼ばれるが、ボラの群れはボラ玉とは呼ばれないらしい。が、それをボラ玉としよう)当時のボラ玉の後を距離を置いてついていくはぐれボラにわたし自身を重ねていたし、いつかその群れに合流できるといいねと思っていた。
でも、わたしには少し難しいことらしかった。
そしてとうとう、わたしは生き別れのわたしたちと玉になることにした。–
作家プロフィール
薬指 ささく Sasaku Kusuriyubi
和歌山県在住、ペインター。原風景と親愛なる隣人をモチーフに描く、日々の雑記を制作としている。
「わたしの絵画の始まりはセラピーでした。自分の中の恐怖に愛すべき姿を与えて、寄り添い克服するために始めたものです。いつしかそれは自分と出会い直す術となり、わたしを暗がりから連れ出してくれました。あなたの深い意識のどこかに姿を持たない存在がいるなら、わたしの絵の中にも彼らは存在するかもしれない。」


薬指ささく個展「生き別れのわたしへ」
会期:2025年10月25日(土)〜11月9日(日) ※初日のみ予約制 https://opaltimes.stores.jp/
時間:月・木・金曜 13:00〜17:00 土・日・祝 13:00〜19:00
休廊:火・水曜
DM design:urisakachinatsu
大阪市住之江区粉浜1-12-1



