
大阪在住のアーティスト・梅田哲也と、大阪出身のアーティスト・呉 夏枝(お・はじ)による展覧会「Tokyo Contemporary Art Award 2024-2026 受賞記念展『湿地』」が、2025年12月25日(木)より東京都現代美術館にて開催される。
「Tokyo Contemporary Art Award(TCAA)」は、同時代の表現を東京から創造・発信するアートセンター「トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)」と東京都が2018年より実施している、中堅アーティストを対象にした現代美術の顕彰事業。受賞から複数年にわたる継続的⽀援によって更なる⾶躍を促すことを⽬的とするもので、各回の受賞者2名は、受賞後の海外活動などを経て、受賞記念展を開催している。
TCAA第5回の受賞者である梅田哲也と呉夏枝は、近年「海路」や「水路」など、水にまつわる考察を作品の重要な要素に取り入れている。2名は受賞直後から対話を重ね、それぞれの作品のコンセプトを共有し、受賞記念展に対するイメージを形成していく中で、互いの作品が空間の中で関係し合う展示構成に至った。また、その対話の過程において、近年の作品に共通する要素を起点とした展覧会タイトル「湿地」を導き出したという。水と陸のはざまに存在し、多様な生態系を有するその場所は、本展における両者の作品の交流とも重なり合う。
呉は、TCAAの海外活動を経て制作された新作を含め、日本・韓国・オーストラリアを中心に個人の記憶を辿りながら2017年より制作を続けてきたプロジェクト「grand-mother island project」を展観。
梅田は、呉の作品も展示される空間に新たな導線を設定し、随所に動的な音響のオブジェクトを組み込むことで、作品を鑑賞するための制度としての美術館に対する視点の転換を試みる。
TCAAの受賞を契機として、受賞者2名がコラボレーションによりつくり上げる展覧会。全く異なる手法によって表現活動を行う2名の作品が、個々の評価によって選ばれた受賞者という枠組みを超えて共鳴し合うことで、どのような展示空間が生み出されるのか、期待が高まる。
参加作家 略歴

1980年熊本県生まれ、大阪府在住。
現地にあるモノや日常的な素材と、物理現象としての動力を活用したインスタレーションを制作する一方で、パフォーマンスでは、普段行き慣れない場所へ観客を招待するツアー作品や、劇場の機能にフォーカスした舞台作品、中心点を持たない合唱のプロジェクトなどを発表。先鋭的な音響のアーティストとしても知られる。
近年の個展に「wait this is my favorite part 待ってここ好きなとこなんだ」(ワタリウム美術館、東京、2023)、「梅田哲也 イン 別府『O滞』」(別府各所ほか、2020)など。また、パフォーマンス公演として「Kunstenfestivaldesarts 2017『Composite: Variations / Circle』」(ブリュッセル)など。

1976年大阪府生まれ、オーストラリア在住。2012年京都市立芸術大学美術研究科博士後期課程研究領域染織修了。
主に、織、染、ほどくなど、繊維素材にまつわる技法を用い、写真、テキスト、音声などを併用したインスタレーション作品を制作。在日韓国人三世の出自を背景に、言葉にされなかった個人の記憶―沈黙の記憶―をめぐる制作や、ワークショップをとおしての対話や経験をもとに、記憶の継承の可能性を探求している。
近年の展覧会に、「総合開館30周年記念 遠い窓へ 日本の新進作家 vol.22」(東京都写真美術館、2025)、「アジア・パシフィック・トリエンナーレ11」(クイーンズランド州立近代美術館、ブリスベン、オーストラリア、2025)、「ANTEPRIMA × CHAT Contemporary Textile Art Prize 2024」(CHAT、香港)、「六本木クロッシング 2022 展:往来オーライ!」(森美術館、東京)など。
Tokyo Contemporary Art Award 2024-2026 受賞記念展「湿地」
会期:2025年12月25日(木)~2026年3月29日(日)
会場:東京都現代美術館 企画展示室 3F
時間:10:00〜18:00
休館:月曜(1月12日、2月23日は開館)、12月28日(日)~1月1日(木)、1月13日(火)、2月24日(火)
料金:入場無料
関連イベント
アーティスト・トーク
選考委員と出展作家が選考を振り返りながら、本展出展作品や今後の展開について話す。
日時:2026年1月10日(土)15:00〜16:30(開場 14:30)
会場:東京都現代美術館 B2F 講堂
出演:梅田哲也、呉 夏枝、高橋瑞木(CHAT館長兼チーフキュレーター/TCAA 2024-2026 選考委員長)、本展担当学芸員
モデレーター:塩見有子(特定非営利活動法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]ディレクター/TCAA選考会運営事務局)
※日英同時通訳、日本手話通訳あり
料金:入場無料
定員:180名
※要事前予約。2026年1月9日(金)までに予約フォームより申込梅田哲也構成・演出『プレイタイム』上映会+アフタートーク
本展で梅田が考案した展示プランの原点のひとつである映像作品を上映。
日時:2026年1月12日(月・祝)15:00〜17:00(開場 14:30)
会場:東京都現代美術館 B2F 講堂
料金:入場無料
定員:180名
※要事前予約。2026年1月11日(日)までに予約フォームより申込
映像提供:Bunkamura(企画・製作) NTT東日本(協力)※その他、各種イベントを開催予定。詳細はTCAAのWebサイトで案内
主催:東京都、トーキョーアーツアンドスペース/東京都現代美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)
東京都江東区三好4-1-1







