
アートとケアの視点から多彩なアートプロジェクトに取り組む奈良市の一般財団法人たんぽぽの家が、2025年11月28日(金)から30日(日)の3日間、京都市京セラ美術館を会場に、「エイブル・アート・ムーブメント30周年記念フォーラム」を開催する(NPO法人エイブル・アート・ジャパンとの共催)。
「エイブル・アート・ムーブメント(可能性の芸術運動)」は、障害のある人のアートを新しい視座で捉え直す市民芸術運動として、1995年にスタートした。本イベントの主催者であるたんぽぽの家は、1973年に生まれた市民活動で、これまで国内外の障害のある人や支援者、NPOや企業、団体らと協働し活動してきた。2004年には、日本初の障害のある人の総合的なアートセンター〈たんぽぽの家アートセンターHANA〉を開設。2012年からは、障害のある人と協働して、アートやデザインを通して新たな仕事を社会に提案する「Good Job! プロジェクト」などに取り組んでいる。
今回のイベントのテーマは「Space for the Next Things」。これからの社会とアートの関係づくりにむけたトークセッションや交流プログラム、これまでの活動の軌跡のほか、全国で同じ課題に向かって活動する団体の活動紹介、開発・販売している商品の販売などを行う。
なかでも、11月30日(日)のトークセッション6には、「よきデザインの現在と未来」をテーマにたんぽぽの家のプロジェクトに伴走してきたデザイナー・原田祐馬(UMA/design farm)と、paperCのCo-Dialogueにも登場したデザイン研究者・水野大二郎が登壇。また、展示「エイブル・アート・ムーブメント30年の奇跡とこれから」では、大阪を拠点とするUMA/design farmやMUESUMが協働し、プロダクトやメディア制作を行ってきたGood job! プロジェクトやNEW TRADITIONALなどの活動のあゆみも紹介する。
エイブル・アート・ムーブメントとは
エイブル・アート・ムーブメントは、障害のある人のアートを新しい視座で捉え直す市民芸術運動。
1996年から7年間にわたってトヨタ自動車(株)と日本障害者芸術文化協会が協働して実施した「トヨタ・エイブルアート・フォーラム」は、障害のある人のアート活動や、それらの活動を支援する人たちに向けてのシンポジウムやワークショップを全国各地で実施しながらネットワーキングの構築に取り組んだ。
2007年には障害のある人がアートを仕事にできることを目的に、エイブルアート・カンパニーを設立し、契約した作家の作品を広告や商品のデザインに使用することを仲介し仕事につなげる活動もスタート。
障害のある人の表現活動の現場から見えてくるニーズに対して、福祉、芸術文化、まちづくり、市民団体、企業、研究・教育機関、行政などの、さまざまな分野の団体、個人を巻きこみながら、新しい仕組みやプロジェクトを展開してきた。障害のある人のアート活動を新しい視座で捉え直し、障害のあるなしに関わらず、誰もが自分らしく生きられる社会の実現を目指して活動を続けている。
日程:2025年11月28日(金)〜30日(日)
会場:京都市京セラ美術館 講演室(フォーラム)、光の広間(展示・交流)
内容:
[フォーラム]
11月28日(金) テーマ:コミュニティと文化(13:00〜16:30)
セッション1「企業とNPOでつくる市民社会」(13:40〜15:00)
登壇:井上武(トヨタ自動車社会貢献部部長)、東中健悟(近畿労働金庫 営業推進部 地域共生推進室 室長)、田村大(リ・パブリック共同代表)、牧陽子(日本マクドナルド株式会社 ソーシャル インパクト部 部長、一橋大学 非常勤講師)、柴崎由美子(NPO法人エイブル・アート・ジャパン代表理事)
セッション2「場と営み」(15:10〜16:30)
登壇:大西麻貴(建築家/o+h)、中島諒人(鳥の劇場芸術監督)、森下静香(Good Job!センター香芝 センター長)11月29日(土) テーマ:豊かに生きるための技術(10:30〜16:00)
セッション3「『傾き』に魅入られる私たち」(10:40〜12:00)
登壇:奥山理子(みずのき美術館キュレーター、SW/ACディレクター)、白石正明(編集者)、高橋梨佳(NPO法人エイブル・アート・ジャパン事務局長補佐)
セッション4「表現とケアとテクノロジーのこれから」(14:30〜16:00)
登壇:緒方壽人(デザインエンジニア)、筧康明(インタラクティブメディア研究者/アーティスト、東京大学大学院 教授)、木村基(四天王寺和らぎ苑 リハビリテーション室 主任、作業療法士)、小林茂(情報科学芸術大学院大学[IAMAS]教授)、小林大祐( 一般財団法人たんぽぽの家 Art for Well-beingプロジェクト事務局)11月30日(日) テーマ:参加のデザイン(10:30〜16:50)
セッション5「舞台の先にある社会」(10:40〜12:00)
登壇:田中みゆき(キュレーター、アクセシビリティ研究、社会福祉⼠)、森田かずよ(ダンサー、俳優)、中島香織(一般財団法人たんぽぽの家 事務局長)
セッション6「問いをたてなおす〜よきデザインの現在と未来」(14:00〜15:20)
登壇:原田祐馬(デザイナー、UMA / design farm)、水野大二郎(デザイン研究者、京都工芸繊維大学教授)、藤井克英(Good Job! センター香芝 企画製造ディレクター)、岡部太郎(一般財団法人たんぽぽの家 理事長)
セッション7「法の余白とルールメイキング」(15:30〜16:50)
登壇:水野祐(法律家/弁護士)、猪瀬浩平(明治学院大学教授/文化人類学者)、後安美紀(一般財団法人たんぽぽの家スタッフ)定員:80名/1日あたり(先着順。定員に達し次第、申込を締切)
参加費:2,000円/1日あたり(税込)[展示・交流]
日時:
11月28日(金)12:00〜17:30
11月29日(土)10:10〜17:40
11月30日(日)10:10〜13:30
※観覧無料/予約不要①アートがつなぐ人と社会
社会を創造的にかえていくためのさまざまな活動について、国内外で取り組まれている事例を紹介。
②交流プログラム
価値の共有ができる場として、アジア太平洋も含めた国内外のゲストを招いたトーク、パフォーミングアーツやドキュメンタリー映像などの上映会などを行う。
③エイブル・アート・ムーブメント30年の軌跡とこれから
1995年に提唱されたムーブメントの実績と、社会の変化にともなう視点のひろがりをポスターや報告書など資料とビジュアルで展示。
④GOOD JOB STORE
各地でうまれた障害のある人の創造性をいかしたプロダクトをそれぞれの活動のバックグラウンドとともに紹介。ABLE ART COMPANYとさまざまな企業のコラボ商品も販売。※交流プログラム等の詳細、申込方法などはこちら
※フォーラム及び交流会の申込・支払締切は11月21日(金)主催:一般財団法人たんぽぽの家
共催:NPO法人エイブル・アート・ジャパン
後援:京都市
京都市左京区岡崎円勝寺町124





![thumbnail: 寛容な場のあり方|対談:東野祥子[ANTIBODIES COLLECTIVE主宰/ダンサー]× 水野大二郎[慶應義塾大学環境情報学部准教授(当時)/デザインリサーチャー]](/assets/img/common/space_85x58.png)


