
1968年から茨木市で開催されている「現代美術−茨木」は、無審査・無賞・自由出品を原則とするアンデパンダン形式の「公募部門」と、実行委員会選出の「特集作家部門」の2部門により構成される展覧会だ。
2025年12月12日(金)から、初の試みとして外部からキュレーターを招聘し、特集作家経験者の中から出展作家を選定する企画展が開催される。
キュレーターを務めるのは平野成悟。
平野は1996年大阪府生まれ。現在は京都を拠点とし、自身の作品制作・発表と平行して展覧会のキュレーションを手がけている。
「いつか かつて と なりて」と題された今回の展覧会は、茨木市立ギャラリーと阪急茨木ビルSocioショーウィンドウの2カ所を会場とし、美術家の今村遼佑と堀尾貞治による二人展形式で開催される。
本展タイトルは、未来と過去とが折り重なってできる内的な時間の厚みと、同時に漸進していく外的な時間の運⾏とを⽰唆しつつ、主語の不在によって捉え難い「いま」の輪郭を暗に浮かび上がらせようとします。ここでいう「内的な時間」とは、記憶を重要な要件として、前後に分節化されない相互浸透的な時間のありかたを意味し、「外的な時間」は時計によって空間化された、計量可能で単線的な時間の尺度のことを指しています。
本展では、哲学者アンリ・ベルクソンが峻別したこの2つの時間へと交互に意識を傾けながら、五感へとささやかに働きかける装置によって再帰的な記憶の場⾯を上演する今村の表現と、⽇課だった制作⾏為の達成として「いま」という現在的な感覚の連続性が結晶化した堀尾の作品を介して、この世界/その感覚を書き留める⽅法について模索します。
参加作家プロフィール

1982年京都府⽣まれ。2007年京都市⽴芸術⼤学⼤学院彫刻専攻修了。
⽇常に潜むかすかな出来事や現象を考察し、ものごとの確かさと不確かさのあわいを探求するような作品を⼿がける。インスタレーション、⽴体、映像、絵画など表現⽅法は主題に合わせて多岐にわたる。
過去の主な展覧会に「今村遼佑×光島貴之 感覚をめぐるリサーチ・プロジェクト〈感覚の点P〉展」(渋⾕公園通りギャラリー、東京、2025)、「味/処」(神奈川県⺠ホール、神奈川、2023)、「セイアンアーツアテンション16 Error of Reality」(成安造形⼤学、滋賀、2023)、「エンカウンター ふたつの個性」basement #01「五却のすりきれ」(京都⽂化博物館、京都、2022)、個展「永くて遠い、瞬きする間」(FINCH ARTS、京都、2021)など。2016年にポーラ美術振興財団の助成を受けてワルシャワに1年間滞在。

1939年兵庫県⽣まれ。
1966年に具体美術協会会員となり、1972年の解散まで参加。
1985年頃からは「あたりまえのこと」という⼀貫したテーマのもとに国内外で年間約100回に及ぶ無数の個展、グループ展、パフォーマンスなどを⾏う。
過去の主な展覧会に、Axel Vervoordt Gallery個展(ベルギー・アントワープ、⾹港、2018)、東アジア⽂化都市2017京都「アジア回廊 現代美術展」堀尾貞治+現場芸術集団「空気」(⼆条城、京都芸術センター、京都、2017)、「A Feverish Era in Japanese Art/ BOZAR」(ブリュッセル美術センター、ベルギー・ブリュッセル、2016)、個展「あたりまえのこと<今>」(BBプラザ美術館、神⼾、2014)、「Gutai: Splendid Playground」オープニングパフォーマンス(グッゲンハイム美術館、ニューヨーク、2013)、横浜トリエンナーレ2005(堀尾貞治+現場芸術集団「空気」)連続82⽇のパフォーマンス(⼭下ふ頭3号・4号上屋、神奈川、2005)、「あたりまえのこと」(芦屋市⽴美術博物館、兵庫、2002)

現代美術−茨木 キュレーション企画 Curatorial「いつか かつて と なりて」
会期:2025年12月12日(金)〜2026年1月5日(月)
会場:
(1) 茨木市立ギャラリー
時間:10:00〜19:00 ※最終日は17:00まで
休館:⽔曜、2025年12⽉28⽇〜2026年1⽉4⽇(その他、臨時休館あり)(2) Socio-1 2階 ウィンドウ
※会期中無休、いつでも観覧可料金:観覧無料
参加作家:今村遼佑、堀尾貞治
キュレーター:平野成悟
デザイナー:⼤⻄正⼀主催:茨木市、茨木現代美術展実行委員会
茨木市永代町1-5
阪急茨木市駅ロサヴィア2F
Socio-1
茨木市永代町5-5



