
関西を拠点に国際的に活躍する3人の作家、森村泰昌、ヤノベケンジ、やなぎみわによる展覧会「驚異の部屋の私たち、消滅せよ。— 森村泰昌‧ヤノベケンジ‧やなぎみわ —」が、2026年4月25日(土)より、大阪中之島美術館にて開催される。
本展は、森村の呼びかけにヤノベとやなぎが応答し実現。
3人とも京都市立芸術大学出身で、これまで同じ展覧会等に参加したことはあるものの、企画段階から協働し一つの展覧会をつくり上げるのは初の試みだ。(企画の経緯は、森村によるテキスト「『驚異の部屋の私たち、消滅せよ。』は、なぜこの3人なのか」に詳述されている。)
「驚異の部屋」とは、16〜17世紀ヨーロッパで王侯貴族や学者が自然物や人工物、珍奇な品々を収集・陳列し、世界の多様性や未知への好奇心を象徴的に示したコレクション空間のことで、美術館や博物館の原点とも言われる。
本展では、5つの「驚異の部屋」を設定。3人の表現が衝突するプロローグを経て、展示室は「Room1:博覧会は子供の領分(ヤノベケンジ)」「Room2:広場にパノラマ島奇譚(森村泰昌)」「Room3:道のオード(賛歌)(やなぎみわ)」「Room4:迷宮を紡ぐ厳粛な綱渡り」と続く。観客は、見知らぬ都市空間のような展示室を散歩者として巡り歩くことになる。
そして最後を締めくくる「Room5:絶望するな、では失敬。」は、3人のコラボレーションによる原案をやなぎが演出。当初は想定されていなかった「消滅美術館」という発想が組み込まれ、それまでの部屋における過剰で饒舌で重い磁場が一気にホワイトアウトしたかのような反転が起きる。
各作家による本展のための新作にも注目したい。
ヤノベは、テスラコイル(高周波・高電圧を発生させる共振変圧器)による放電によって描き出す《稲妻絵画》を出展する。1日2回、通電による展示が行われる予定だ。また、短刀の拵(こしらえ)に装飾を施した新作《八卦連環》シリーズ全8点も一堂に展示される。
森村の新作《M式・大阪八景》は、昭和文化を象徴する映画看板の絵師とのコラボレーションにより、大阪にちなんだ8つの場所で撮影した作品を看板化する試みである。また、大阪の日本画家、木谷千種《浄瑠璃船》を原画とする最新作は、森村の近年のテーマのひとつである「勇ましくない絵画」の第1弾として発表される。
やなぎは、これまでもテーマとしてきた「黄泉平坂(よもつひらさか/『古事記』において生者の住む現世と死者の住む他界との境目にあるとされる坂)」の世界を表現する新作映像を発表するほか、会期中には美術館ホールで舞台公演「黄泉平坂 〜排斥と遊戯〜」を上演。また、「女性の船首像」たちを撮影した写真シリーズ(2019年制作)と、新たに創作した船首像の写真(2026年制作)を合わせて展示する。
最終盤では、映像作家の林勇気が制作した、本展までの2年間を記録する「驚異」のドキュメンタリー映像が、エピローグとして上映される。
各作家の作品世界がぶつかり合い、ときに融和する本展。3人の熱量によって練り上げられる展示空間に期待したい。
作家プロフィール
森村泰昌
1951年、大阪市生まれ。大阪市在住。1985年に初めてのセルフポートレイトの作品《肖像/ゴッホ》を発表する。
以降、「わたし」という一貫したテーマのもと、「なにものかに扮するセルフポートレイト写真」を発表し続けている。その制作は、モチーフとなる人物/作品について、念密なリサーチとジオラマ、スタジオセットの作成、コスチュームやメイクなどの過程を経るものであり、独自の視点から対象に迫ることによって、作品が完成する。また、映像、パフォーマンス、執筆など多岐にわたる活動を行なっている。ヤノベケンジ
1965年、大阪府生まれ茨木市育ち。1990年代初頭より、「現代社会におけるサヴァイヴァル」をテーマに機能性を持つ大型機械彫刻を制作。ユーモラスな形態に社会的メッセージを込めた作品群は国内外から評価が高い。2017年、「船乗り猫」をモチーフにした、旅の守り神《SHIP’S CAT》シリーズを制作開始。2022年に開館した大阪中之島美術館のシンボルとして《SHIP’S CAT(Muse)》(2021)が恒久設置される。やなぎみわ
神戸市生まれ。女性をテーマにした写真作品で個展多数。2009年ヴェネチア・ビエンナーレ日本館で個展。2010年より舞台作品を創作し「1924 三部作」を美術館と劇場で上演。「ゼロアワー 東京ローズ最後のテープ」で北米ツアー。台湾製の特殊車両による野外巡礼劇「日輪の翼」(原案・中上健次)を開始。 2019年、個展「神話機械」で機械と演者が共演する「MM」を上演。21年には日台共同制作で台湾オペラの演出も手掛けた。2025年は六甲ミーツ・アートにて水上劇「大姥百合」、BENTEN Art Nightの歌舞伎町能舞台にて「黄泉平坂 排斥と遊戯」を上演。
驚異の部屋の私たち、消滅せよ。 — 森村泰昌‧ヤノベケンジ‧やなぎみわ —
会期:2026年4月25日(土)〜7月20日(月・祝)
会場:大阪中之島美術館 5階展示室
時間 :10:00〜17:00(入場は16:30まで)
休館:月曜 ※4月27日(月)、5月4日(月・祝)、7月20日(月・祝)は開館
観覧料:一般 1,900円、高大生 1,300円、小中生 500円
関連イベント
開幕記念 作家鼎談 驚異のアーティストトーク
「なぜこの3人なのか」。作家から始まったこの展覧会の経緯、裏側を作家自ら語る。
日時:4月25日(土)14:00〜15:30(開場13:30)
会場:大阪中之島美術館 1階ホール
登壇:森村泰昌、ヤノベケンジ、やなぎみわ
料金:参加無料、ただし本展観覧券(利用後の半券可)が必要
定員:150名(先着順、事前申込不要)ヤノベケンジ 猫之島美術館 ―宇宙猫アトリエ臨時公開記録
日時:4月28日(火)〜5月7日(木) 10:00〜17:00 ※最終日(5月7日)のみ12:00まで
会場:⼤阪中之島美術館 2階芝生広場
料金:参加無料ヤノベケンジ アートゲーム SHIP’S CATの⼤冒険 公開記念イベント
日時:5⽉2⽇(⼟)第1部(トークイベント)14:00〜15:00、第2部(ゲームエキシビジョン)15:15〜16:00、第3部(サイン会)16:00〜
会場:⼤阪中之島美術館 1階ホール
料金:参加無料、ただし本展観覧券(利用後の半券可)が必要
定員:150名(先着順、事前申込不要)舞台公演「⻩泉平坂 〜排斥と遊戯〜」
日時:5月28日(木)17:30開演、5月29日(金)14:00開演/17:30開演、5月30日(土)11:00開演/17:30開演
※公演時間は60分
会場:大阪中之島美術館 1階ホール
作・演出:やなぎみわ
出演:安田登(下掛宝生流ワキ方能楽師)、渡邉尚(身体研究家・サーカスアーティスト)、金沢霞(琵琶奏者)
料金:4,000円 ※ローソンチケットにて販売(Lコード:52954)
定員:140名森村泰昌連続レクチャー「驚異」のための美術教室
日時:6⽉6⽇(⼟) 、20日(土)、27日(土)、7⽉4⽇(⼟)各回14:00〜15:00
会場:⼤阪中之島美術館 1階ワークショップルーム
料金:参加無料、ただし本展観覧券(利用後の半券可)が必要
定員:40名
※事前申込制。5⽉7⽇(⽊)より⼤阪中之島美術館公式サイトにて申込受付主催:大阪中之島美術館、読売新聞社
問合:06-4301-7285(大阪市総合コールセンター)
大阪市北区中之島4-3-1










